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論文

Quantum beats on triplet-positronium reactions in water

平出 哲也

JPS Conference Proceedings (Internet), 25, p.011021_1 - 011021_2, 2019/03

水中の放射線分解では非常に強い反応性をもつOHラジカルなどが形成される。OHラジカルは水分子のイオン化直後にカチオンと水分子の反応で形成される。一方、水に陽電子を入射するとそのトラックの最後で水分子をイオン化し過剰電子を作り、その過剰電子と入射陽電子がポジトロニウム(Ps)を形成できる。ここで、OHラジカル中の不対電子とPs中の電子はイオン化前には同じ軌道にいた電子対であり、イオン化の時刻には一重項である。これらの電子は一方はOHラジカル上の超微細結合定数を、もう一方はPs上の超微細結合定数をもち、電子のスピン状態は変化していく。このスピンの相関から、PsとOHラジカルの反応において、スピン交換反応の収率が時間に依存することとなり、長寿命の三重項Psの反応では量子ビートが観測される。この量子ビートの周期からOHラジカルの超微細結合定数を見積もることができ、超微細結合定数はOHラジカルの周囲の環境、つまり、水分子が作り上げる構造に依存することとなる。これらの方法により、水の構造、構造の中のOHの反応などを議論できるようになりつつある。

論文

Reaction between spin-correlated triplet positronium and OH radical in water

平出 哲也

JPS Conference Proceedings (Internet), 25, p.011022_1 - 011022_3, 2019/03

水中では放射線分解で反応性の大きいOHラジカルが形成する。OHラジカルの挙動は材料の腐食や生体中の反応において重要である。最近、陽電子を入射した際に陽電子トラックの末端で形成されるOHラジカルと、OHラジカル形成とともに形成した過剰電子が熱化陽電子と反応することで形成されたポジトロニウム(Ps)の間で起こる反応に、スピン相関により量子ビートが起こることを報告した。この量子ビートはOHラジカルの超微細結合定数に依存した周期をもっていると考えられる。量子ビートの周期と強さが温度に依存すると考えられ、これらの変化はOHラジカルの周囲の状態を反映していると考えられる。このスピン相関のあるOHラジカルと三重項ポジトロニウムの反応により検出される量子ビートの温度依存性から、液体構造についてどのような研究が可能になるか解説する。

論文

Yield of OH radicals in water under high-density energy deposition by heavy-ion irradiation

田口 光正; 小嶋 拓治

Radiation Research, 163(4), p.455 - 461, 2005/04

 被引用回数:25 パーセンタイル:57.4(Biology)

OHラジカルとの反応速度定数の大きなフェノールを選び、その水溶液に220MeV C及び350MeV Neイオンを照射し、生成物の定性・定量分析を行った。3種類の構造異性体を持つ酸化反応生成物(ハイドロキノン,レソルシノール及びカテコール)について、その生成収量を、水中で進行方向に連続的に減弱するイオンエネルギーの関数として微分解析し、各生成物の収率(微分G値)を求めた。トラック内に生成した水素原子や水和電子とフェノールとの反応ではこれらの反応生成物は生じないので、生成物収率との比例関係からOHラジカルの微分G値を求めた。この結果、微分G値は、水中における重イオンの比エネルギーが減少するに伴い小さくなることがわかった。また、同じ比エネルギーでは原子番号が大きくなるにつれて、小さくなることがわかった。

報告書

Decomposition of $$it p$$-nonylphenols in water by $$^{60}$$Co $$gamma$$-ray irradiation

木村 敦; 田口 光正; 小嶋 拓治; 平塚 浩士*; 南波 秀樹

JAERI-Research 2004-018, 49 Pages, 2005/01

JAERI-Research-2004-018.pdf:6.6MB

毒性が高くかつ難分解性である内分泌撹乱化学物質は動物に対して悪影響を及ぼすといわれている。その一つである$$it p$$-ノニルフェノールは、プラスチック及び合成洗剤の原料に用いられ、広く水環境中に排出されている。$$^{60}$$Co-$$gamma$$線照射によって水分子から生成するOHラジカルは非常に高い酸化力を有し、オゾン等の他の処理法では分解が困難な化学物質の分解を可能とする。近年、このOHラジカルを用いた処理法は水環境の保全において非常に注目を集めている。本研究は、水中汚染化学物質の処理法の開発の一環として、$$gamma$$線誘起OHラジカルによる$$it p$$-ノニルフェノールの分解の機構解明を行った。$$it p$$-ノニルフェノール,$$it p$$-クレゾール及び4-エチルフェノールをOHラジカルによって酸化分解し、アルキル鎖の長さの違いによる分解機構の差異について考察した。

論文

重イオン照射における水中OH ラジカル生成収率

田口 光正; 小嶋 拓治

JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.139 - 140, 2004/11

重イオンにより水溶液中に誘起される化学反応は、おもに水から生成したOHラジカルの量や空間分布により支配される。本研究では、OHラジカルとの反応速度定数の大きなフェノールを選び、その水溶液に220MeV Cイオンを照射し、生成物の定性・定量分析を行った。3種類の酸化反応生成物(ハイドロキノン,レソルシノール及びカテコール)について、その生成収量を、水中の進行方向に連続的に減弱するイオンエネルギーの関数として微分解析し、各生成物の収率(微分G値)を求めた。トラック内に生成した水素原子や水和電子とフェノールとの反応ではこれら反応生成物は生じない。ここで、トラック内再結合しなかったOHラジカルが$$gamma$$線と同じ反応機構で酸化反応に寄与すると仮定し、OHラジカルの微分G値を求めた。微分G値は、水中における重イオンの比エネルギーが減少するに伴い小さくなることがわかった。さらに、フェノール濃度を0.5から100mMと変えることにより、すなわち平均反応時間を1.5から300nsと変えた場合、微分G値は、イオン照射直後では比較的大きな値を示したが、時間経過に伴い小さくなった。これは、$$gamma$$線や電子線などでも観測される一般的な現象である、照射により生成した水素原子や水和電子との反応によりOHラジカルが消滅したと考えられる。

論文

フォトンカウンティング法を利用した重イオン光吸収測定技術の開発

田口 光正; 小嶋 拓治

JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.141 - 142, 2004/11

本研究では、シングル重イオン照射によって生成する活性種挙動の時間変化を追跡することにより化学反応メカニズムを解明することを目的として、照射による活性種を反応初期から動的に観測する測定法の開発を行った。セル内の試料水溶液の上面にモニター光を発するための薄膜シンチレーターを設置し、イオンビーム下流側から発光を観測する、高時間分解能な分光測定法を開発した。水溶液試料上面のシンチレーターを通過したイオンからの発光は水溶液を通過し光ファイバーに集光される。この時の特定波長での発光強度(I0)はイオン入射直後に最大値を示し減衰する。また、シンチレーターを通過し水溶液中に入った重イオンは水分子と反応し、OHラジカルや水和電子などの活性種を生成する。これら活性種と水溶液中の溶質分子とが反応してできた反応中間体はシンチレーターからの特定波長の光を吸収するため、その分減衰した発光強度(I)が観測される。KSCN水溶液に220MeV Cイオン照射した場合、照射直後の数10ナノ秒の発光強度に差異が観測された。これは照射初期に生成するOHラジカルとの反応で生成した(SCN)$$_{2}$$$$^{-}$$ラジカルの吸収に由来すると考えられる。

論文

Differential analyses of transient species initially produced in single heavy ion track; Nuclear and specific energy dependence

田口 光正; 小嶋 拓治

JAERI-Review 2003-033, TIARA Annual Report 2002, p.141 - 142, 2003/11

酸素飽和フェノール水溶液への重イオン照射の結果、OHラジカルが付加置換反応した3種類の構造異性体を持つ生成物(ハイドロキノン,レソルシノール及びカテコール)がd同定された。これらの生成収率は入射エネルギーに対して一次以上の増加率であった。この生成収量を、水中で進行方向に連続的に減弱するイオンエネルギーの関数として微分解析して得られた各生成物の収率(微分G値)は、$$gamma$$線照射により得られるG値の1/2から1/10の範囲であった。$$gamma$$線照射の場合では、これら生成物の総G値は、OHラジカルの生成G値の90%以上であることから、イオン照射では高密度に生成したラジカルの再結合反応が酸化反応よりも速く起こるため微分G値が小さくなると考えられる。また、C及びNeイオンともにOHラジカルの微分G値は比エネルギーが減少するに伴い小さくなることがわかった。さらに、同一比エネルギーでは、微分G値はCイオンの方が大きかった。このように微分G値は核種と比エネルギーに依存することがわかった。なお、Cイオンに関しては、LaVerneが低エネルギーCイオンで求めたG値とよく整合した。

論文

Primary process of radiation chemistry studied by ion pulse radiolisys

吉田 陽一*; Yang, J.*; 関 修平*; 佐伯 昭紀*; 田川 精一*; 柴田 裕実*; 田口 光正; 小嶋 拓治; 南波 秀樹

JAERI-Review 2003-033, TIARA Annual Report 2002, p.145 - 146, 2003/11

AVFサイクロトロンからのCイオンを、試料液面上に設置したシンチレータを通過させ、水溶液試料に照射した。Cイオンがシンチレータを通過する際に発する光を、分析光として用い、試料容器底面に設けたレンズ集光機能を持つ光ファイバーを通して、光測定系に導いて生成物の吸光特性を調べた。吸光度は、溶質の存在する場合と、無い場合の光強度の差を用いて算出した。Cイオン照射により生成したOHラジカルとの反応により生成した(SCN)$$_{2}$$$$^{-}$$の過渡吸収時間プロファイルを480nmで測定した。この結果得られた吸光度は20nsで立ち上がることがわかった。これは、システムの時間分解能に等しい。また、吸光度の減衰は、10ns程度の速い減衰過程とそれに続く遅い減衰過程が観測された。この速い減衰過程は高密度励起に起因するものと考えられる。

論文

Decomposition of phenolic endocrine disrupting chemicals by potassium permanganate and $$gamma$$-ray irradiation

阿部 康弘*; 瀧上 眞知子; 杉野 公二*; 田口 光正; 小嶋 拓治; 梅村 智也*; 角田 欣一*

Bulletin of the Chemical Society of Japan, 76(8), p.1681 - 1685, 2003/08

 被引用回数:5 パーセンタイル:26.49(Chemistry, Multidisciplinary)

フェノール,ブチルフェノール(BuP),ビスフェノールA(BPA)等のフェノール系内分泌攪乱物質(P-EDCs)50$$mu$$M水溶液の分解を過マンガン酸カリウム(KMnO$$_{4}$$)を用いて行い、$$^{60}$$Co$$gamma$$線照射により生成したOHラジカルによるP-EDCsの分解と比較した。種々の有機酸及び無機炭素が、KMnO$$_{4}$$及びOHラジカルによるP-EDCsの分解で生成した。KMnO$$_{4}$$処理では、有機酸及び無機炭素は芳香族環の直接開裂で形成され、OHラジカル処理の場合にはOHラジカルの芳香族環への付加・置換反応に続く芳香族環の開裂により形成される。一方、BuP及びBPAを完全に取り除くために必要とされる電子数で分解効率の比較を行うと、KMnO$$_{4}$$はOHラジカルとほぼ同等であったが、フェノールの100%分解では、KMnO$$_{4}$$はOHラジカルの3倍量必要であった。しかし、フェノールを完全に有機酸及び無機炭素に変化させるために必要な電子数は720$$mu$$Mであり、両処理で同等であった。

論文

Decomposition of gas-phase diphenylether at 473 K by electron beam generated plasma

Kim, H.*; 箱田 照幸; 小嶋 拓治

Journal of Physics D; Applied Physics, 36(5), p.473 - 481, 2003/03

 被引用回数:6 パーセンタイル:28.18(Physics, Applied)

電子ビーム照射によるごみ燃焼排ガス中のダイオキシンの分解機構を明らかにする研究の一環として、ダイオキシンのモデル物質としてビフェニルエーテル(DPE)を数ppmv含む473Kの高温ガスに電子ビーム照射を行い、線量に対するDPEの分解率や分解生成物の濃度変化から、その分解機構を調べた。その結果、DPEの分解初期には、含水ガス中であってもOHラジカルは関与せず、主にO原子が寄与することがわかった。また分解したDPEは、90%の収率でハイドロキノン,二酸化炭素及び一酸化炭素となることがわかった。

論文

Monte Carlo simulation of water radiolysis in oxygenated condition for monoenergetic electrons from 100eV to 1MeV

渡辺 立子; 斎藤 公明

Radiation Physics and Chemistry, 62(2-3), p.217 - 228, 2001/09

 被引用回数:36 パーセンタイル:90.76(Chemistry, Physical)

電子線照射による水の放射線分解過程の系統的な理解のために、シミュレーションによる研究を行った。さまざまなエネルギー(100eVから1MeV)の電子を水に照射した場合について、電子によるエネルギー付与の分布、ラジカルの分布、酵素存在下でのラジカルの化学反応過程をモンテカルロ法によりシミュレートした。この結果を解析したところ、数10nmの領域内でのエネルギー付与構造やラジカルの初期分布が、拡散後のラジカル収率や化学反応過程と強い関連性があることがわかった。また、線量が化学反応やラジカルの収率に与える影響についても解析したところ、照射電子のエネルギーにより、線量が化学反応やラジカル収率に与える影響が異なることがわかった。さらに、OHラジカルスカベンジャー存在下での化学反応についても調べた。

論文

Pseudomonas radiora 0-1での酸素効果におけるO$$_{2}$$とH$$_{2}$$O$$_{2}$$の役割

渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭

食品照射, 17, p.20 - 22, 1982/00

殺菌線量を低減化する方法として、O$$_{2}$$の増感作用(酸素効果)は有効な方法の一つである。これまで空気中や100%O$$_{2}$$下での効果は調べられているが、低O$$_{2}$$濃度下での効果についてはあまり検討されてきていない。そこで0.9%O$$_{2}$$下で起る酸素効果にどのような溶性種が関与するかを検討した。P.radiora 0-1はO$$_{2}$$濃度の増加に伴って感受性が増大するが、5%以上では100%まで感受性の変化はなかった。最大増感(5%以上)の約半分の増感を示す0.9%O$$_{2}$$下で、種々の捕捉剤(アルコール、SOD、カタラーゼ等)を使って検討した結果、OHラジカルと同時にO$$_{2}$$$$^{-}$$やH$$_{2}$$O$$_{2}$$が酸素効果の原因となっていることが明らかとなった。酸素固定化説では酸素効果はOHラジカルと分子状O$$_{2}$$によって起ると考えられてきたが、この仮説が、低いO$$_{2}$$濃度下では適用できないことを明らかにした。

論文

Effect of gamma-irradiation on purified glucose isomerase in dilute solution

久米 民和; 渡辺 宏; 青木 章平*; 佐藤 友太郎*

Agricultural and Biological Chemistry, 45(6), p.1311 - 1315, 1981/00

$$beta$$treptomyces phaeochromogenus菌体より抽出・精製したグルコースイソメラーゼに対する$$gamma$$線照射の影響を検討した。稀薄溶液中(pH 7.0)で照射した場合酵素活性は指数関数的に減少し、失活収率(Go)は空気中では0.069、窒素中では0.115であった。 また、ラジカル補捉剤であるN$$_{2}$$Oガスおよびt-BuOHを用いて、酵素失活に対する水の放射線分解生成ラジカルの寄与の割合を検討した。・OH、Hおよびl$$_{a}$$$$_{q}$$のグルコースイソメラーゼに対する失活効率は各々0.032,0.025,0.005であった。このように本酵素の失活には主として・OHとHが関与しており、l$$_{a}$$$$_{q}$$の寄与はわずかであった。しかし、無酸素状態の中性水溶液では・OHの収率が高いため、全体としては・OHが主に失活に関与していた。

論文

Radiosensitization of pseudomonas radiora O-1 by N$$_{2}$$O in aqueous suspension

渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭

Radiat.Res., 88(3), p.577 - 586, 1981/00

 被引用回数:27 パーセンタイル:77.49(Biology)

放射線抵抗性菌を低線量で殺菌することを目的とした殺菌線量低減化技術の開発の過程で、放射線抵抗性菌であるPs,radiora O-1がN$$_{2}$$Oによって著しく増感されることを見出した。種々のアルコールやシステイン,蟻酸などを用いて、増感に関与するラジカルについて調べた結果、H原子は関与しないが、OHラジカルは増感に関係すること、またカタラーゼやパーオキシダーゼがN$$_{2}$$Oの増感を抑制することから、H$$_{2}$$O$$_{2}$$も増感に関係していることが明らかとなった。H$$_{2}$$O$$_{2}$$だけでは死滅効果がなく、またどちらか一方が捕捉されても増感が抑えられることから、N$$_{2}$$Oによる増感作用はOHラジカルとH$$_{2}$$O$$_{2}$$の協同作用によって起ると結論した。このような栄養細胞に対するN$$_{2}$$Oの新しい増感機構はまだ報告されていないため、従来の増感機構と対比して考察した。

論文

Evidence that nitrous oxide enhances the radiosensitivity of bacterial vegetative cells by the Co-operative action of the hydroxyl radical and hydrogen peroxide

渡辺 宏; 飯塚 廣*; 武久 正昭

Z.Allg.Mikrobiol., 20(8), p.535 - 537, 1980/00

放射線抵抗性菌をより低線量で殺菌することを目的とした殺菌線量低減化技術の開発の過程で、放射線抵抗性菌であるPs.radioraがN$$_{2}$$Oによって著しく増感されることを見出した。このN$$_{2}$$Oによる増感作用はPs.radioraに限らず、抵抗性菌であるM.radioduransやM.lysodeikticus,B.pumilusなどでも観察されることから、細菌一般にみられる現象と考えられる。種々のラジカルスカベンジャーを用いて、増感作用に関与する活性種について調べた結果、N$$_{2}$$Oの増感作用はOHラジカルとH$$_{2}$$O$$_{2}$$によって起り、どちらか一方が捕捉されても増感は抑制されることから、両者の協同作用によって増感が起るものと考えられる。栄養細胞に対するこの新しい増感機構を従来の増感機構と対比して考察した。

口頭

Yield of transient species in NaBr aqueous solution observed in ion beam pulse radiolysis of H$$^+$$, He$$^2$$$$^+$$, C$$^5$$$$^+$$ and Ne$$^8$$$$^+$$ ions

岩松 和宏; 山下 真一*; 田口 光正; 木村 敦; 倉島 俊; 勝村 庸介

no journal, , 

高LET放射線であるイオンビームは低LET放射線である$$gamma$$線や電子線などとは異なる照射効果を引き起こす。その照射効果はイオンビームの飛跡にそった高密度かつ不均一な活性種分布に由来する。イオンビームの照射効果の解明を目的に、低LET放射線での蓄積から放射線分解の挙動がよくわかっている水を媒体として研究を行った。水分解生成物のうち生成量も多く強力な酸化剤である水酸化(OH)ラジカルに着目し、そのプローブとしてBr$$^-$$イオンを用い時間分解光吸収測定実験を行った。イオン種としては19.2MeV/uのH$$^+$$、11.4MeV/uのHe$$^2$$$$^+$$、15.8MeV/uのC$$^5$$$$^+$$、12.8MeV/uのNe$$^8$$$$^+$$を用いた。OHラジカルとBr$$^-$$との反応で過渡的に生成するBr$$_2^-$$の光吸収が375nm($$varepsilon$$[Br$$_2^-$$]=9000M$$^-$$$$^1$$cm$$^-$$$$^1$$)の波長で観測され、照射直後から2分子反応により減少した。吸光度から生成収率(個/100eV)を求めたところ、照射直後の収率は、原子番号の増加とともに1.8から0.6まで減少した。原子番号が大きくなるにつれ、トラック内のラジカル初期密度が増加し、ラジカル同士が反応し、その結果Brと反応したOHラジカルが減少したためと考えられる。Br$$_2^-$$の減少速度は原子番号の増加とともに早くなった。これは、二分子反応で消滅するBr$$_2^-$$の濃度が、LETすなわち原子番号の増加に伴い増加したことが原因と考えられる。現在、トラック構造モデルに基づいた3次元化学反応解析を進めている。

口頭

水中におけるオルソーポジトロニウムとOHラジカルの反応

平出 哲也

no journal, , 

水に陽電子を入射するとそのトラックの最後でも水分子をイオン化し、OHラジカルが形成される。一方、イオン化の際に形成した過剰電子と入射陽電子がポジトロニウム(Ps)を形成できる。ここで、OHラジカル中の不対電子とPs中の電子はイオン化前には同じ軌道にいた電子対であり、イオン化の時刻には一重項である。これらの電子は一方はOHラジカル上の超微細結合定数を、もう一方はPs上の超微細結合定数をもち、電子のスピン状態は変化していく。このスピンの相関から、PsとOHラジカルの反応において、スピン交換反応の収率が時間に依存することとなり、長寿命の三重項Psの反応では量子ビートが観測される。この量子ビートの周期からOHラジカルの超微細結合定数を見積もることができ、超微細結合定数はOHラジカルの周囲の環境、つまり、水分子が作り上げる構造に依存することとなる。今回、新たに構築した装置で15$$^{circ}$$C、10$$^{circ}$$Cにおいて量子ビートの測定を行った。15$$^{circ}$$Cから10$$^{circ}$$Cの温度域の変化で、水の構造に変化が起こっている可能性を示す結果が新たに見出された。

口頭

陽電子消滅寿命-運動量相関(AMOC)による水中におけるOHラジカルの測定

平出 哲也

no journal, , 

陽電子消滅寿命(PALS)測定において見られる水中における三重項Ps(o-Ps)からの消滅寿命は、通常の液体と異なり、高温ほど寿命が短くなる。これはo-Psが周囲の活性種と反応するためである。陽電子消滅寿命-運動量相関(AMOC)測定では特にスピン交換反応により形成される一重項Ps(p-Ps)が検出され、PALS測定同様に温度依存性が見られると予測される。実際には10$$^{circ}$$C程度までは測定温度を低下させるとスピン交換反応によるp-Psの形成が減少したが、6$$^{circ}$$C付近ではスピン交換反応によるp-Psの形成が増大した。これはo-Ps中の電子とスピン相関をもつ電子が残るOHラジカルとの反応が優先的に起こることが原因であると考えられる。このことから、10$$^{circ}$$C以上では3次元的な拡散が反応を支配しているが、10$$^{circ}$$C以下では水クラスターが形成され、その表面にOHラジカルが局在し、o-Psと反応していると考えられる。

口頭

水中のOHラジカルとortho-Psの反応におけるスピン相関の効果

平出 哲也

no journal, , 

水中に入射された陽電子はトラック末端で水分子をイオン化し、放出される過剰電子とある確率で長寿命(数ナノ秒)のオルトーポジトロニウム(o-Ps)を形成する。この過剰電子を放出した水のカチオンは直ちにOHラジカルとなる。これら近距離のo-PsとOHラジカルの反応のスピン相関の効果から、比較的大きな水クラスターが存在することによりOHラジカルの長距離拡散が抑制される可能性が示された。

口頭

水溶液中におけるOHラジカルとポジトロニウムの反応

平出 哲也

no journal, , 

水の放射線分解により形成されるOHラジカルの挙動は、生体内の反応や原子炉内の腐食などにおいて重要である。しかしながら、いろいろな環境中のOHラジカルは水が作り出す複雑な構造の中に存在している。陽電子消滅寿命-運動量相関(AMOC)を利用することで、トラックの末端で形成されるポジトロニウム中の電子とスピン相関のある電子が残っているOHラジカルは、その後に長寿命の三重項Psと反応する際に、スピン相関を持たないOHラジカルと比べ、スピン交換反応後の一重項Psの収率が大きいことから識別できる。AMOC測定により10$$sim$$15$$^{circ}$$C,1$$sim$$2$$^{circ}$$Cの温度領域で水の液体構造の変化によりOHラジカルの拡散挙動が変化していると考えられる結果が得られた。

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